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シトロエンe-ベルランゴへ試乗 50kWhで航続距離292km 欧州では純EVのみに

シトロエンe-ベルランゴへ試乗 50kWhで航続距離292km 欧州では純EVのみに

欧州では純EVのみの設定に

シトロエンe-ベルランゴ XLフィール(英国仕様)

シトロエンe-ベルランゴへ試乗 50kWhで航続距離292km 欧州では純EVのみに

欧州で人気のファミリーワゴン、シトロエン・ベルランゴ。AUTOCARでの試乗のためにクルマを借りていたところ、驚くようなニュースがシトロエンを擁するステランティスから飛び込んできた。【写真】純EV版シトロエンe-ベルランゴ ボックスボディの電気自動車と比べる (80枚)ベルランゴはこのカテゴリーでは英国の主流モデルの1つだが、今後はガソリンエンジン版もディーゼルエンジン版も、英国を含む欧州市場で販売しないという。つまり、すべてを純EVへ置き換えるというのだ。それには、兄弟モデルに当たるオペルが販売するコンボと、プジョーのリフターも含まれる。商用車には内燃エンジン版も残るそうだが、一般ユーザーは今後選べないことになる。ステランティスの説明では、この決定は将来的にもベルランゴのようなモデルを存続させるためだとしている。一見矛盾するようにも思えたのだが、プレスリリースを深く読むと、その真意が見えてきた。背の高いボックスボディは正面面積が大きく、全高の低いモデルと比べて燃費が悪くなりがち。自動車メーカーはCO2排出量の削減に向けて、各国政府から圧力を受けている。そこで矢面に立ったのが、ベルランゴということのようだ。もっとも目的はどうあれ、純EVのe-ベルランゴが持つメリットは変わらない。基本的には使い勝手の良い、ファミリーワゴンだと思う。

行動範囲は内燃エンジン版から大きく制限

シトロエンe-ベルランゴ XLフィール(英国仕様)

一方でベルランゴが売りにしてきた、アウトドア・レジャーに適したクルマという側面は薄くなるだろう。その理由は航続距離。試乗日が極寒の天気だったとはいえ、駆動用バッテリーから得られた距離は、カタログ値の292kmより遥かに短いものだった。e-ベルランゴが搭載するバッテリー容量は50kWh。冬場の現実的な航続距離は、180kmから190kmといったところになると思う。目的地で確実に充電できるなら、その距離まで遠出することはできる。しかし、充電器に先客がいたり、そもそも付近には充電器がないかもしれない。そう考えると、150km前後までの移動に留めておいた方が無難だといえる。内燃エンジン版のベルランゴなら、一度の給油で800kmくらいは走れた。比較すれば、大幅な性能の変化といわざるを得ない。e-ベルランゴは都市部から遠くは離れることができない、ファミリーワゴンなのだ。市街地で沢山の人を乗せて移動するという目的でいえば、英国で提供されるロングホイールベース版のXLが好適。車内空間は広大で、乗り降りもしやすく、大人7名が快適に過ごせるシートが用意されている。後席の2列を折り畳むかクルマから降ろせば、直方体で巨大な荷室空間も得られる。大きな家具も、難なく運べる。

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