搭載するエンジンは2387cc水平対向4気筒DOHCガソリン(235ps/7000rpm、250Nm/3700rpm)。
トヨタの新型「GR86」に大谷達也が試乗した。箱根の山道を走った印象とは?【写真を見る】新型GR86の詳細(23枚)
トヨタの新しいGR86に公道で試乗できる日がようやくやってきた。GR86とその兄弟車であるスバル「BRZ」については、すでにプロトタイプを袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗し、限界特性の違いを確認。くわえて、ひとあし先に発売された新型BRZは公道における試乗記も掲載済みなので、これでGR86とBRZの、サーキットと公道でのインプレッションが出揃うことになる。なお、今回試乗したGR86は純然たる量産仕様だが、足まわりのスペックなどは前回試乗したプロトタイプから変わっていないのをトヨタGRの開発責任者に確認している。試乗会が催されたのは箱根のワインディングロード。今回、用意されたのは最上級グレードの「RZ」と「SZ」の2タイプで、最大の違いは、RZが215/40R18のミシュラン・パイロット・スポーツ4を履くのに対して、SZのタイヤは215/45R17のミシュラン・プライマシーHPとなる点にある。つまり、タイヤサイズの点でもタイヤ銘柄の点でも、RZはSZのパフォーマンスを凌いでいるのだ。それ以外の足まわりの設定はRZとSZで共通とのこと。このタイヤの違いがどんな乗り味の差となって表れるのか? まずはRZのマニュアルトランスミッション(MT)仕様を借り出して試乗を開始した。
箱根の一般道を走り始めてすぐに気づいたのが、「乗り心地が硬いなぁ」というもの。試乗会場周辺の道路は路面がかなり荒れているのを差し引いても、先日試乗したBRZのSグレード(タイヤはRZと同じ215/40R18のミシュラン・パイロット・スポーツ4)との差は歴然としている。2台を比べると、BRZは十分に快適だけれど、GR86はこれがガマンできる限界か、人によっては限界を越えてしまっているように思う。このときは「トヨタGR、かなり攻めたところを狙ってきたな」というのが正直な感想だった。ただし、新型のボディは剛性感が恐ろしく高く、どんなに強い衝撃が足まわりにくわわってもビクともしない。また、私がたびたび指摘する“ボディの振動吸収特性”についてもまったく不満がなく、微細なものも含めて足まわりの振動はすべてすっと収まってくれる。これくらいボディ剛性と振動吸収特性が優れている日本車は、最近試乗した範囲でいえばホンダの新しいシビックくらいしかない。どちらも車両価格は300万円台であるが、この品質感は世界に誇れるもので、本当に素晴らしいと思う。そして、このボディ剛性感と振動吸収特性のおかげで、硬めの乗り心地もどうにか許容範囲に収まっているというのが、私なりの評価である。いっぽう、高性能タイヤを装着した効果はテキメンで、サーキットではあれほど簡単に振り出したテールは完全に安定しきっている。これを物足りないと感じる向きもあるかもしれないが、ドライビングスキルも様々な不特定多数のユーザーがステアリングを握ることを考えれば、妥当な判断といえるだろう。MTの感触はBRZと同様で、剛性感が高く、まったく不満を覚えなかった。
次ページは:悩ましい選択最終更新:GQ JAPAN