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【F15墜落】田中1佐に「ジョー、頑張ったな」 24年間親交・上出さん、笑顔の写真大切に

【F15墜落】田中1佐に「ジョー、頑張ったな」 24年間親交・上出さん、笑顔の写真大切に

創立40年を迎えた飛行教導群について北國新聞社の取材に応じた田中1佐=昨年12月16日、小松基地

【F15墜落】田中1佐に「ジョー、頑張ったな」 24年間親交・上出さん、笑顔の写真大切に

機体引き揚げのために現場海域に向かうサルベージ船=14日午後2時半、加賀市の新保海岸から

 乗員2人の遺体が確認された小松基地のF15墜落事故で、乗員の1人、田中公司1等空佐(52)と24年にわたり親交を深めてきた能美市寺井町の上出雅彦さん(70)は14日、「今はただ、『ジョー頑張ったな』って言ってやりたい」と声を絞り出した。ジョーは操縦士同士で呼び合う時の田中1佐の愛称で、上出さんもいつしかそう呼んでいた。事故発生から2週間、生還を祈り続けた上出さんは笑顔を浮かべるジョーの画像を携帯電話に保存した。【写真】現場海域に向かって手を合わせる女性。近くには花束が手向けられた 小松基地の友好団体「ハイフライト友の会」会長の上出さんは田中1佐の遺体が見つかったと知り、昨年12月に一緒に撮影した写真を探した。写真では上出さんに顔を近づけおどける田中1佐。「いつもふざけてばかり。すごくにこやかな顔しててね」と話した。 上出さんは、入隊して最初の任地が小松だった田中1佐と交流してきた。飛行教導群司令だった田中1佐に「群のトップなんだから無理して飛ばなくていいのに、後輩を育てようとしたんだろう。あいつらしいよ」とおもんぱかった。 事故後、上出さんは田中1佐に「バカヤロー」とメールし、翌日も「返事くらいしろ」と送信した。あれからメールはしていない。 「もう、しょうがないよね」と自分に言い聞かせるように繰り返し、「つらいけど、遺体が見つかってよかった。あとは事故原因がはっきりしないと区切りは付けられない」と語った。●「優秀な操縦士失った」 田中1佐と植田竜生1等空尉(33)の遺体が確認されたことに、地元関係者からは悼む声が相次いだ。 小松基地の石引大吾司令は「ご冥福を心よりお祈りし、ご家族にお悔やみを申し上げる。優秀な操縦者2名を亡くしたことは痛恨の極みだ」とコメントした。 基地周辺105町内会でつくる小松飛行場周辺整備協議会の小前田彰会長(73)は「機体は買えても命は買えない。優秀な操縦士を失ったのは国の損失だ」と話した。飛行教導群の協力会「アグレス会」の上田真会長(58)は基地の隊員の心情を思いやり、「今後も会としてしっかり支援したい」と語った。 加賀市の新保海岸に花束を手向けた市内の40代女性は「今まで(国を)守ってくれてありがとうという気持ち」と涙を浮かべた。 小松基地騒音訴訟の出渕敏夫原告団長(74)は「操縦士は空の防人(さきもり)であり、国の宝だ」と悼み、離陸後すぐに海側に旋回する飛行方式の見直しを求めた。 小松市の宮橋勝栄市長は「無事の帰還がかなわず痛恨の極みだ。国防や災害のために昼夜を問わず、身をていして第一線で活動されていた」とコメントした。 機体の引き揚げ作業はクレーンを積んだ船、ソナー(探知装置)を備えた船、引き揚げた部品を積載する船の計3隻で行い、数日かかる見通し。●谷本知事「早急に原因究明を」 谷本正憲知事は「家族、同僚に心よりお悔やみを申し上げる。小松基地には早急に原因を究明し、速やかに十分な安全対策を講じてもらいたい」とのコメントを出した。