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【電子版】マーケティングの出番ですか? (28)「顧客戦略の温故知新」 | トピックス ニュース

【電子版】マーケティングの出番ですか? (28)「顧客戦略の温故知新」 | トピックス ニュース

時折、閉鎖的な商習慣として揶揄(やゆ)される京都のお茶屋の「一見さんお断り」という既存顧客を優先する手法ですが、サービスを提供するお店側に立てば、既存顧客から安定的な売上を見込むことで計画的な仕入れ、生産、在庫管理、流通を実現し、それを基盤に既存顧客の期待に応える製品の品質(Q)、価格(C)、納期(D)の維持、さらなる向上に取り組むことが可能となります。

【電子版】マーケティングの出番ですか? (28)「顧客戦略の温故知新」 | トピックス ニュース

新規顧客にとっては敷居の高いサービスですが、顧客セグメントを確立し、料理、芸妓等、各種サービスの効率的なサプライチェーンを構築しているお茶屋は、まさに正当な顧客戦略を体現しています。

ご存知の通り、お茶屋同様に、高価値を求める顧客層を対象とした製品やサービスは、さまざまな分野でニッチ市場を形成しており、長年築いたブランド力を基に高付加価値ビジネスを展開しています。

「ローン借り換え」「キャリア乗り換え」に見る既存顧客“軽視”?の戦略

「ローン借り換え」「キャリア乗り換え」両サービスともに、他社で過去に契約されたサービスを自社の新サービスに切り替えることを武器に顧客を奪い合う形で新規開拓が行われています。自明ですが、各社が既存顧客に対して旧(割高)サービスから新(割安)サービスへの変更を提案すればこの市場は存在せず、自社の利益を減少させる提案がし難いというジレンマが既存顧客“軽視”の要因となっており、顧客サービスを空疎なものにしています。

ちなみに筆者の場合、ローン借り換えにあっては、他行からの低利ローンの提案を受けた後に、現契約銀行の低利ローンの変更、それに加えて利用意向のない他の金融サービスも契約することとなり釈然としませんでした。他方、携帯電話の他社キャリアの乗り換えにあっては、解約手続きの電話連絡をした際、現キャリアのオペレータから長々と解約を慰留され、憮然としてしまいました。ユーザー・エクスペリエンス(UX〈顧客体験〉)の向上がマーケティグのテーマとされる中、真逆の対応を受けた次第です。

「成長マトリックス」でとらえる顧客戦略